HOME > 特設情報ページ


座標補正パラメータ/地殻変動補正パラメータ/座標変換パラメータ
の違いは?


東北地方太平洋沖地震に伴う測量成果改定作業が、公共測量などで始まっています。測量成果改定のPatchJGD支援ソフトウエアに使う「座標補正パラメータおよび標高補正パラメータ」ならびにセミ・ダイナミック補正計算に使う「地殻変動補正パラメータ」の用語が出まわっています。加えて、世界測地系への座標変換TKY2JGDに使う「座標変換パラメータ」および「地域毎に適合した変換パラメータ」の用語があります。これら「パラメータ」の用語が入り混じって使われています。お間違えのないよう具体的に実態をみましょう。

1.公共測量成果改定マニュアルにおけるパラメータ用語の混乱
国土地理院による「公共測量成果改定マニュアル(平成20年度)」は、3.11の地震に伴う測量成果改定に適用されます。http://psgsv.gsi.go.jp/koukyou/download/patch/patch_manual.pdf
このマニュアルは、PatchJGD関連の「パラメータ」の用語として、次の7種類の用語を使っています。
地域毎の補正パラメータ(第3条)
地域毎に適合した補正パラメータ(第4条)
地域毎のパラメータ(第11条解説図−1)
座標補正パラメータ
標高補正パラメータ
補正パラメータ
パラメータ(第19条)
また、国土地理院HPの下記には「地域毎の座標補正パラメータ」の記述があり、
http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/patchjgd/download/version.html
さらに、同HPの下記には「地域毎の標高補正パラメータ」の記述があります。
http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/patchjgd_h/download/version.html
以上合計9種類の「パラメータ」があります。
実際のところ、「ず舵己篝汽僖薀瓠璽拭廚よび「ド弦睚篝汽僖薀瓠璽拭廚箸修譴蕕鯀躱里靴拭岫κ篝汽僖薀瓠璽拭廚裡骸鑪爐基本になります(末尾の表参照)。
図 地域毎:各地震に適用される全国6カ所の地域

図に示すように、各地震に適用される名称としては、:「地域毎の座標補正パラメータ」「地域毎の標高補正パラメータ」およびそれらを総称した「|楼菲茲諒篝汽僖薀瓠璽拭廚砲垢譴个茲い海箸砲覆蠅泙后B地成果2000のとき使われた「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」の用語と整合しています。
複雑に9種類もの「パラメータ」の用語を使う必要は、さらさらありません。このマニュアルが用語の混乱の種をまくかもしれませんので、お客様の混乱を軽減するために、筆者は昨年の12月に国土地理院の公共測量の担当者に用語の整理などをお願いしました。まだ整理されていません。
なお、「PatchJGD」に関する国土地理院の説明は混乱していないわけですから、公共測量関係者の一部がPatchJGDに関する内容の理解が薄いのかもしれません。

2.国土地理院以外の計画機関のパラメータ用語
元締めである国土地理院でも、その担当者の一部が混乱しているわけですから、国土地理院以外の計画機関で混乱するのは当然かもしれません。「座標補正パラメータ」を「地殻変動パラメータ」とした事務連絡や仕様書などの公的文書の例があります。
法務省の民事二課長通知は、PatchJGD「座標補正」を「パラメータ変換」と定義した独自の用語を使っています。この例の場合、不動産登記法上の適用に限られた法務省の定義になります。
各計画機関が独自の用語を定義して使うのは当然としても、公共測量などの測量法に基づく測量成果改定作業では、国土地理院が定義した用語を使うのが混乱を避けるため望ましいことと思います。

3.座標変換および座標換算の定義
2008年3月に改正された公共測量作業規程の準則に導入されたJPGISによる「座標変換」の定義は、"異なる原子に基づくある座標参照系から他の座標参照系への一対一の関係による座標の変更"となっています。具体的には、2002年度の改正測量法に伴う「日本測地系」から「日本測地系2000」への移行は、「座標変換」によって実現しました。TKY2JGDによる日本測地系から日本測地系2000への座標の変更には、「座標変換パラメータ」が使われました。
JPGISは、"同一原子上におけるある座標系から他の座標系への一対一の関係に基づく座標の変更"を「座標換算」と定義しています。具体的には、日本測地系2000における楕円体面の緯度・経度から平面直角座標のxyへの計算は、「座標換算」になります。

4.PatchJGDと座標補正
PatchJGDが最初に使われたのは、2003年の十勝沖地震の測量成果改定でした。この成果改定は、地震前も地震後も日本測地系2000であり、同一測地原子内の座標の変更になります。従いまして、「座標変換」ではなく「座標換算」になり、座標換算のための「座標補正パラメータ」と理解すればよいように思います。
この十勝の例では、座標補正量は地殻変動量に相当しますから、先述した仕様書などの「PatchJGD」「地殻変動パラメータ」としたのは、まるっきり見当はずれの用語でもないようです。

5.東北地方太平洋沖地震に伴うPatchJGDの座標補正
東北地方太平洋沖地震後の成果は、ITRF2008(元期2011.4)です。地震前の成果は、ITRF94(元期1997.0)です。従いまして、この地震に伴う測量成果改定は、異なった測地原子間の座標の変更になり、一般的には「座標変換」となります。法務省民事二課長通知による「パラメータ変換」の用語は、的をはずしていないのかもしれません。しかし、測量法上の扱いでは、過去のPatchJGDの用語との整合性から考えれば、「座標変換」とするより「座標補正」とした方が、混乱がないように思います。
なお、この場合の「座標補正値」は、「測地成果2000」と「測地成果2011」の座標差になります。座標補正量には、地殻変動量だけでなくフレームの違いによる小さな座標の差なども加わります。厳密には、座標補正値は地震時の地殻変動量ではありません。

6.地域毎に適合した変換パラメータ
東北地方太平洋沖地震に伴う成果改定は、PatchJGDによる改算の他、改測を規定しています。さらに、全点の改測でなく、骨格になる1級基準点などを改測しその地域独自の「座標補正パラメータ」をつくり、下級の基準点の改算の方法も示しています(下記枠内参照)。http://psgsv.gsi.go.jp/koukyou/public/jishin/index.html
 ★局所的な変動が発生している地域

次のような地域は、再測量(改測)が必要になります。
地震の地殻変動と整合しない局所的な変動(地すべりや液状化など)が発生している地域
・市町村合併に伴い旧境界部において、公共測量成果の不整合が見られる地域
基準点の再測量(改測)を実施する場合、すべての基準点の改測を行う必要はありません。
 (例1)局所的な変動地域のみを再測量(改測)し、他の地域は補正ソフトウェア及び補正パラメータを用いて基準点成果を改定します。
 (例2)上位級の一部の基準点を再測量(改測)し、その結果から補正パラメータを作成します。作成したパラメータを利用して、他の基準点成果を改定します。
 (例3)上位級の一部の基準点を再測量(改測)します。他の基準点は過去の観測値をもとに再計算(改算)し、基準点成果を改定します。
上記のような対応もできますので、公共測量成果改定の際は、国土地理院にご相談ください。

この独自パラメータは、日本測地系から世界測地系への座標変換である「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」に示された「地域毎に適合した変換パラメータ」に相当するようですが、詳しい内容は"国土地理院にご相談ください。"として、公開されていません。
これまでの流れからすれば、「地域毎の補正パラメータ」と区別して、測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアルに従って独自パラメータを「地域毎に適合した補正パラメータ」とすれば、名称の整合性がとれると思います。地方自治体などの仕様書には使える名称と思います。
なお、座標補正パラメータは、震源に近いところでは地震時の地殻変動に相当しますので、5メートル程度にもなります。関東地方などでは20センチメートル程度です。補正パラメータの大きさは下記をご参照ください。
http://www.gsi.go.jp/common/000062926.pdf

7.セミ・ダイナミック補正と地殻変動補正パラメータ
セミ・ダイナミック補正」を実現するためのデータとして「地殻変動補正パラメータ」が使われています。2012年度に使用する地殻変動補正パラメータは、国土地理院により去る4月2日に公開されました。
西日本と北海道の元期は1997.0で、今年の2012年まで15年経過していますので、数値の大きいところでは30センチメートル程度にもなります(図の函館、札幌)。測量成果改定した東日本の元期は2011.4で、1年程度の経過であり、数値は大きくありません(図の東京、青森)。ただし、震源に近いところでは余効変動の影響で20センチメートルを超えるところがあります(図の仙台、盛岡)。
図 地殻変動補正パラメータから計算した2012−元期の地殻変動量

元期の異なる境界付近での影響に関しては、弊社HPの下記による図5,6をご参照ください。
https://atmsp.aisantec.com/atmspark/modules/ev_f14/index.php?id=44#0024
なお、「セミ・ダイナミック補正パラメータ」の用語が使われることがありますが、マニュアルなどに規定された用語ではありません。

8.まとめ
最後に、各パラメータに関する内容を表にまとめました。
‖量法第31条に基づいて、地震などに伴う大きな位置の変化を、地震前の値から地震後の値に改定するのがPatchJGDの「補正パラメータ」です。その値は最大5メートル程度です。
定常的地殻変動であるセミ・ダイナミック補正の計算要素として使うのが「地殻変動補正パラメータ」です。その値は元期1997.0地域においては数10センチメートルです。元期2011.4地域では大きくありません。
F本測地系と日本測地系2000との異なった測地原子間の座標の変更である座標変換に使うのが「変換パラメータ」です。変換パラメータの大きさは、座標補正パラメータなどと異なり格段に大きく、400メートル程度です。
ど分改測によりつくるアフィン変換のパラメータは「地域毎に適合した変換パラメータ」となります。

参考のため、各種「パラメータ」の区分を下表に示しました。
*筆者の提案であり公的に規定された名称ではない。
**測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアルによる名称。

2012年 8月14日
技術顧問 中根勝見



 HOME > 特設情報ページ
当社は「プライバシーマーク」を取得しました。当社では個人情報保護方針を定め確実な履行に努めて参ります。
個人保護方針
このサイトは、企業の実在証明と通信の暗号化のため、サイバートラストのサーバ証明書を導入しています。Trusted Webシールをクリックして、検証結果をご確認いただけます。 当社保守対応製品一覧のご案内です。 ATMS保守サービスの内容及び@tmsParkについての
ご案内